『そして安倍晋三は終わった』を書くにあたり、引用・参考にした文献・資料を紹介するコーナーのvol.12です。

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vol.11

 

2012年からアベノミクスがはじまり、政策の最大目標を経済回復とデフレ脱却と謳ったものの、その実態は、物価が上がり、賃金が下がり、戦後最悪の消費停滞に陥らせるものだった。

その原因の一つが消費税だった。

2014年に消費税が5%から8%に引き上げられた。

2014年の消費増税前後の「各世帯」の年間消費額は、消費増税直前には各世帯は年間369万円消費する勢いを持っていたが、増税からその支出額は激減し、2017年には335万円に減少した。

つまり日本の世帯は、消費税の増税により年間で平均34万円もの消費を削ることになったのだ。

 

『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(p.22)より

 

消費税というものは、消費者にとっては、「消費行動についての罰金」のようなもので、消費税を上げれば必然的に消費にブレーキがかかる。

増税後の34万円分「貧しいもの」となった日本は、国内のあらゆるビジネス環境が変化した。

とりわけ中小企業の業績は年々悪化しつづけ、そのあおりを受ける形で国民の給与所得も下落した。

もし消費税増税がなければ、消費は冷え込むどころか拡大し、2018年時点でいまよりもGDPが30兆円近く高い水準に至っていたことも想定される。

約30兆円は、国民一人あたりの所得に換算すればおおよそ20万円~25万円程度である。

年間それだけの追加の所得があれば、日本国民はこんにちのような貧困化とは正反対に、より裕福な状況に至っていたはずである。

つまり日本国民は、消費税によって年間でトータル30兆円、国民ひとりあたり一年で20万円から25万円もの所得を失ったのである。

 

一方で、消費税増税から好調となったのは「輸出」である。

その拡大量が15兆円。

『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(p.32)より

 

消費増税で冷え込んだ消費の最大下落量は14兆円。

しかしその輸出の拡大は、円安の影響とともに、最大の原因は、とりわけ世界最大の経済大国アメリカの好景気だった。

つまり消費税増税後の「経済成長」は自力による成長ではなく他力によるもので、トータルとしては日本経済は少しずつ成長したといえるが、それは表面的な成長で、実態は貧困化したというのが前回の増税の結果である。

 

さらに消費税は、「輸出奨励税」といえるものである。

現在の日本では、輸出の際には税がかけられず、その原価(仕入れ)などに含まれているとされる消費税分を国が戻してやるという制度がある。

「輸出還付金」である。

年間の売上高にかかる消費税より年間の仕入高にかかる消費税が多ければ、その金額が税務署から企業に還付される金額になる。

しかし、多くの下請け業者や中小企業は、大企業との力関係により消費税分を価格に転嫁できず、そのほとんどが価格の引き下げることで消費税分は自腹を切ることを余儀なくされている。

つまり輸出還付金は、輸出大大企業が下請けを泣かせれば泣かせるほど不労所得が増えていくという仕組みになっている。

 

そもそも「還付金」というのは、サラリーマンの年末調整のように、自分で納めすぎた税金が自分に還ってくる税金を指すものである。

輸出還付金は、他人が納めた税金を自分が納めたように偽装して横取りするコソ泥のようなものである。

その仕組みがわかれば、消費税の増税に賛成したり、将来的には消費税を20%まで段階的に引き上げる必要があると提言したりしている人たちの正体と目的がわかってくる。

 

■引用・参考文献・資料

藤井聡『「10%消費税」が日本経済を破壊する』晶文社、2018年

斎藤貴男・湖東京至『税が悪魔になるとき』新日本出版社、2012年