12.31

「時間泥棒」とペトロダラー 10 ―米国債と特別会計、日本の「裏帳簿」のルーツ―
「時間泥棒」とペトロダラー 1 - SWIFTの原型をつくったイタリア商人 -
「時間泥棒」とペトロダラー 2 - 「神の代理人」が意味するもの -
「時間泥棒」とペトロダラー 3 - 「神の銀行」か「バチカン株式会社」か -
「時間泥棒」とペトロダラー 4 - バチカンの秘密諜報機関と「汚い戦争」 -
「時間泥棒」とペトロダラー 5 - 収奪を合法化して支配するアングロ・サクソン -
「時間泥棒」とペトロダラー 6 ― 植民地という「千年王国」と変質する「明白な天命」―
「時間泥棒」とペトロダラー 7 ― 世界恐慌の原因となった紙マネー ―
「時間泥棒」とペトロダラー 8 ― アメリカ、ユーロに怯えてサダム・フセインを工作員認定 ―
「時間泥棒」とペトロダラー 9 ― 米ドル信仰と安倍晋三暗殺事件 ―の続き、今回で完結です。
かつてアメリカが仕掛けたいくつもの戦争がそうであったように、現在起きているウクライナを代理人とした西側とロシアとの紛争もまた、その本質はエネルギー戦争であり金融戦争である。
ウクライナの首都キエフは旧ソ連時代には軍事開発拠点であり、旧ソ連軍が誇った核兵器やミサイルや軍艦はすべて東ウクライナの工場で生産されていた。
この旧ソ連時代の軍事技術に目をつけたブッシュ(父)は、「ロシアの軍事力を削減する」名目でウクライナの分離独立を仕掛けた。
そのようにして「独立国」となったウクライナは西側の自軍需産業に軍事技術を安売りし、それで得た大金がナチス・アメリカを形成するブッシュ政権に流れ込んだ。
直接的、間接的であれアメリカが関わる戦争は、すなわちペトロダラーの独裁体制を保持するための戦争であり、ペトロダラー体制を崩そうとする体制を取ろうとする国を攻撃してきたものである。
敗戦処理班としての日本政府
岸田首相は9月の国連総会の一般討論演説で、「ウクライナ侵略は国連憲章の理念と原則を踏みにじる行為」とロシアを名指しで非難したが、国連憲章の理念と原則とは以下のように定められている。
目的と原則
国連憲章が定める国連の目的は、次の通りである。
・国際の平和と安全を維持すること。
・人民の同権および自決の原則の尊重に基礎をおいて諸国間の友好関係を発展させること。
・経済的、社会的、文化的または人道的性質を有する国際問題を解決し、かつ人権および基本的自由の尊重を促進することについて協力すること。
・これらの共通の目的を達成するにあたって諸国の行動を調和するための中心となること。
国際連合は次の原則に従って行動する。
・国連はすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
・すべての加盟国は憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
・加盟国は、国際紛争を平和的手段によって国際の平和および安全ならびに正義を危うくしないように解決しなければならない。
・加盟国はいかなる国に対しても武力による威嚇もしくは武力の行使を慎まなければならない。
・加盟国は、国連がこの憲章に従ってとるいかなる行動についてもあらゆる援助を与えなければならない。
・憲章のいかなる規定も本質的に国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国連に与えるものではない。(国際連合広報センター)
国連とは国際連合(United Nations)のことであり、国際連合とは第二次世界大戦中に英米を中心とした戦勝国のことである。
終戦時、世界の9割近くは連合国となり、それと対立した日本を含む枢軸国(イタリア、ドイツ、およびそれらと協力関係にあった国々)は敗戦国となったが、連合国による敗戦国の戦後処理については、連合国が一定期間占領して非軍事化や民主化をすすめることになり、日本を占領したのが連合国最高司令部(GHQ)であった。
戦勝国が定めた国連憲章とは、つまりは戦後のあたらしい世界秩序を定めたものであり、それには旧敵国条項(第53条、第107条)が定められている。
旧敵国のすべてが国際連合に加盟して半世紀が経過した現在、一般的には、事実上死文化した条項と認識されているとされるが、明文化されたまま残っている以上条項は有効である。
その内容を端的に言えば、第二次大戦中に連合国の敵国であった国が、戦争の結果確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動等を起こしたりした場合、国際連合加盟国や地域安全保障機構は、安保理の許可がなくとも当該国に対して軍事制裁を科すことができる、としている。
つまり、あらゆる紛争を国連に預けることを規定した、先の国連憲章51条の規定には縛られず、敵国条項に該当する国が起こした紛争に対して、自由に軍事制裁を課する事が容認されるのである。さらに言えば、これらの条文は敵国が敵国でなくなる状態について言及していない。
そのため旧敵国を永久に無法者と宣言したのも同様であり、旧敵国との紛争については平和的に解決義務すら負わされていないとされている。従って、敵国が起こした軍事行動に対しては話し合いなど必要なく、有無を言わせず軍事的に叩き潰してもよろしいということになる。
一方、国連憲章第2章では、主権平等の原則を謳っており、この敵国条項の規定は国連の基本趣旨に反し、特定の国を差別していることは確かである。(戦後70年、いまだに敗戦国扱いされる日本 国連とは第二次大戦の「連合国」の意味である)
つまり日本はいまだに敗戦国としてアメリカを筆頭とした戦勝国とに“戦後処理”されている国である。
とりわけ現代の日本人を狂わせた根源が、GHQによる洗脳工作「WGIP」(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)である。
WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)
「WGIP」(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムとは、「戦争についての罪悪感を日本人に植えつけるための宣伝計画」で、日本が二度とアメリカに歯向かうことができないようにし、占領・支配しやすくするための計画である。
日本人の精神性の基盤を、憲法をはじめ教育に関する法律も変えて変質させ、罪悪感を持たせ続けさせる。
その洗脳工作は、政界、財会、官僚、司法、教育などのあらゆる分野の枢要の地位を占める人を含む多くの日本人の思考をいまなお縛り、大手メディアを通じて日本人を毒している。
GHQの思想的根源は共産主義組織コミンテルンであり、共産主義の基礎である私財の禁止は、政、財、官、司法、教育などの分野からだけでなく、半ば強制的な献金を奨励する教義をもつ大小さまざまな宗教団体によって民間人に浸透した。
表向きの教祖という代表を立てる裏で日本の右翼と不法なビジネスを共謀する統一教会は、天宙平和連合(UPF)という関連非政府組織が国際連合経済社会理事会において総合協議資格を有する国連NGOでもある。
その統一教会とも敗戦処理の別班である創価学会とも密接な関係をもつ自民党が与党である日本政府がとる政策は、それゆえ、民間人の私財を吸い上げて、政、財、官、司法、教育などの公務員およびその関係者が消費するためのものばかりになるのである。
注ぎ足されることのない器から水を吸い上げては捨てつづけるような、いつまでも続くはずのないその政策の淵源は、日本の宗主国であるアメリカのいつまでも続くはずのないペトロダラーという詐欺商品を、日本が買い続けなければならなかったからである。
アンタッチャブルな米国債と特別会計、「裏帳簿」のルーツは長州藩の撫育金
戦勝国が理想とするあたらしい世界秩序のため、アメリカに利する政策を取りつづける政権が長くその地位に就く。
日本の国益となるような政策や改革を行おうとする者は、重要な役職に就けなかったり就いていても追われたり、場合によっては不審な死を遂げる。
日本政府が保有する米国債は帳簿上、外為特会(外国為替資金特別会計)に含まれる。
原資は国民の税金である特別会計から年間330兆が特殊法人に流れていることを追究し、「政権与党がひっくり返る」ほどの情報をつかんだ民主党所属の議員石井紘基は、3日後に国会質問を控えていた中暗殺されている。
2009年財務大臣だった中川昭一は、国際通貨基金(IMF)の専務理事ストロスカーンと会談しIMFへの最大1000億ドルの資金支援について合意したが、その1000億ドルは米国債を売却して拠出しようとしたために酩酊会見を仕組まれ、辞職、暗殺されたといわれている。
ほか、米国債売却を口にした橋本龍太郎や小渕恵三も死因は病死でも不審な点が多いとされ、民間人の財産の搾取をより可能にする住基ネットシステムを違憲とした裁判官は、判決後3日で不自然な自殺を遂げている。
日本の政策とは、自民党、とりわけアメリカへの隷属政策をとる清和会が、日本国民の利益よりアメリカの利益を優先させて個人法人を問わず搾取する法律や政策を作り上げることである。
特殊法人という巨大な官僚天下りシステムにたかり、巨額の特別会計を身内で好き勝手に使う体制のことである。
その特別会計のルーツは、長州藩毛利氏の「撫育金」という隠し財産にある。
毛利氏は撫育金を増やすために干拓や塩田開発という新しい殖産興業に積極的に努め、そこで薩摩とつながって倒幕運動へと進み、明治維新における軍事費の多くはこの撫育金によって賄われた。
明治維新とは薩長側のイギリスと幕府側のフランスの代理戦争であったが、薩長同盟の重要な条件のひとつが「薩摩が長州に武器を供与する」ことであり、その武器はイギリスから提供されたものである。
その明治維新を契機に日本は首相に長州藩出身者が続き、彼らに武器を提供したイギリを手本とした資本主義国家を「近代化」したといっているわけだ。
イギリスすなわちアングロ・サクソン人がいかに野蛮であり、都合よく法律を変えて他人の財産を収奪してきたかはすでに述べた通りである。
イギリスのアングロ・サクソンが移住して作った国がアメリカであり、そのアメリカに富を収奪されているのが日本である。
安倍晋三が終わった意味
根源的な通貨でなく紙切れに過ぎないうえに、その米ドルとの引換券としての米国債も売却をしようとすると殺される世界で、しかしロシアのウクライナ侵攻は、脱ペトロダラーの潮流の契機となった。
ロシアは国営天然ガス会社ガスプロムの取引を米ドル以外の通貨での決済に舵を切り、中国向けのガス供給契約はロシア・ルーブルおよび中国人民元建てに変更すると発表した。
ヨーロッパや中東、アジアやアフリカでも米ドル以外の通貨で取引しようとする国が増えている。
ペトロダラーが完全に消滅することはなくても、徐々に確実に世界は中身のないインチキを嫌い誠実で質実なものに舵を切りつつある。
その中で、最長の首相在職日数を誇る長州閥の安倍晋三の暗殺は、だれがどういう意図で起こしたかはともかくとして、日本人にこれまでの考えを変えろという強いメッセージに結果なったように思う。
本人にその意思があったかどうかもともかくとして。
■参考資料
ベンジャミン・フルフォード『逆襲のトランプと大激変するアメリカ 日本人が知るべき「世界動乱」の危機』メディアックス、2017年
土持法一「GHQの教職員組合政策に関する一考察」日本教育政策学会年報、1998年
久岡賢治「占領期GHQによる検閲・宣伝工作の影響と現代日本」特集歴史に学ぶ危機への処方箋、2020年
関野通夫「日本人を狂わせた洗脳工作『WGIP』その目的と思想的源流―そしてだまされる日本人側の要因と今後への教訓―」比較法制研究、2016年
平池久義「長州藩における撫育制度について―組織論における革新の視点から―」下関市立大学論集、1999年
完全監視社会【タイムリミットは2020】官僚(公務員)全体主義国家【新型ファシズムがやってくる】
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