2020
05.28

『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人』と解放という名の侵略、救いという名の奴隷化、新しい自由という名の共産思想

文化・歴史

中国共産党は、国内においては一人当たり2台の監視カメラを用いて中国人民を見張っているが、海外に住む中国人にたいしても、SNS上で中国共産党に都合の悪い情報を流した人には、投稿の削除依頼や滞在先の所属、帰国時期など問うメールを公安部から直接送り、監視と言論弾圧を行っているという。

そればかりか、中国にいるときだけでなく、世界中のどこにいても中国の法律に従うよう要請し、個人の自由を認めず事実の提示を攻撃とみなし、人を精神的に拘束しつづけている。

中国共産党の侵略と洗脳の手法は、日本でもよく似た手口が用いられて個人の精神が侵略されているが、その実態を大手メディアが報道しないうえに、大手メディアの情報を疑わない人が多いために、人びとはいままさに自身が危機にさらされていることに気づかない。

そればかりか、むしろありがたがって中国共産党に同化しようとする人もいる。

中国共産党が世界中で侵略を行うことの、最終目標は日本の天皇を処刑することだといわれるが、その悪辣な手口は『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人』でもよく語られている。

 

 中国のチベット侵略は、一九四九年一〇月、中華人民共和国成立後すぐに計画され、一九五〇年一月には「人民解放軍の基本的課題は、本年中にチベットを帝国主義者の手から“解放”することである」と宣言することで、明確にその意志を示している。「帝国主義者」どころか、当時チベットには外国人はほとんどいなかった。チベット政府はこの宣言に抗議し、国境の防備を固めよとしたが、時すでに遅く、この年の一〇月には中国の人民解放軍が、侵略軍として東チベット(アムド、カム地方)に押し寄せてきた。その数は数万人、僅か数千の、しかも武器も乏しかったチベット軍は彼らを防ぐことはできなかった。当時は朝鮮戦争開戦の年でもあり、世界の目はそちらに集中していて、この侵略は世界の注目を集めず、国際的な支援もなかった。これは、中国が常に行うある種、火事場泥棒的な侵略であって、今現在(二〇一七年秋)でも、中国は北朝鮮危機のさなか、インドとの国境線上で圧力をかけている。

チベット側もなんとか事態を解決しようと北京に代表団を派遣するが、一九五一年五月、中国はあらかじめ用意していた「十七カ条協定」をチベット側に突きつけ、拒否すればラサまで進軍を続けると脅迫しつつ、しかも派遣団の本国政府との連絡・相談も許さない状態で、偽の国璽まで持ち出して無理やり調印させた。このとき、チベット側の代表団団長だったアボ・アワン・ジメグは、この後、徹底的に中国側に立つ行動を取るようになる。同じ民族の中に、中国に内通する人間を作り出していくのも、中国の得意なパターンである。

しかし、この経過が、十七カ条協定の前文では、次のように、全く中国側に都合の良いように変えられてしまっている。

「一九四九年、中国人民解放戦争は全国的範囲で基本的勝利を勝ちとり、各民族共同の内部の敵、国民党反動政府を打倒し、各民族共同の外部の敵――帝国主義侵略勢力を駆逐した」

「この基礎の上に、中華人民共和国と中央人民政府が成立を宣言した」

「(人民解放軍は)中華人民共和国領土内の各民族が一律に平等であり、団結して相互援助を行い、帝国主義と各民族内部の人民の共同の敵に反対し、中華人民共和国を各民族が友愛によって合作する大家庭とすることを宣言した」

「これ以後、国内各民族は、チベット及び台湾区域をのぞいていずれもすでに解放を勝ちとった。中央人民政府の統一的指導のもと、各少数民族はいずれもすでに民族平等の権利を充分に享受し、かつすでに民族の地方的自治を実行し、あるいはまさにじっこうしつつある」

「帝国主義侵略勢力のチベットにおける影響を順調に一掃して、中華人民教鎖国領土と主権の統一を完成し、国防を維持し、チベット民族とチベット人に解放勝ちとらせ、中華人民共和国の大家族に戻らせて、国内その他の各民族と同じく、民族平等の権利を享受させ、その政治・経済・文化教育の事業を発展させるため、中央人民政府は人民解放軍にチベット進軍を命令した際、チベット政府に、代表を中央に派遣して交渉を行い、チベット平和解放の方法に関する協約の締結を便利ならしめるようにと通知した」

これこそが歴史の偽造に他ならないのだが、中国はチベット側にこれほどの嘘を押し付け、侵略を解放とし、これまでの独立国チベットを「中華人民共和国の大家族」に編入した。代表団は本来チベットの立場を交渉するためにチベット政府から派遣されたのに、「平和解放」を承認し条約を締結するためにやってきたものであると規定され、すでに用意していた十七カ条協定に調印させられたのである。

そしてこの十七カ条協定の内容は、後にことごとく破られていくようになった。(p.50-53)

 

実際は、協定が破られるばかりではなく、十七条協定と正反対の政策がとられ、現在もなお継続中である。

中国には、5つの自治区(新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、広西チワン族自治区、寧夏回族自治区、チベット自治区)があり、チベットも中国の「自治区」ということになっているが、民族の自治は認められておらず、信仰の自由どころか国内の貴重な仏教寺院は破壊され、多くの僧侶や尼僧が迫害、拷問、処刑された。

内モンゴル自治区や広西チワン族自治区においては、文化大革命の際に大規模な虐殺が行われ、とりわけ広西チワン族自治区においては、組織的で凄惨な人肉食が行われていた。

新彊ウイグル自治区においてもイスラム教徒にたいして「再教育」という名の洗脳が行われているが、寧夏回族自治区においても新疆ウイグル自治区同様、大規模な監視制度などを開始され、モクスが改修という名のもとに破壊されている。

 

協定という、紛争・競争などを避けるための合意を、破るどころか正反対の政策を進める厚顔無恥な中国共産党にとって、協定や条約や契約といった約束事は、平和を望む相手の良心につけこんで相手を隷属化させるためのステップにすぎないのだ。

中国共産党が口にする「解放」の実態は、「侵略」である。

本音が隠された聞こえのいいことばは、ほかには「大躍進」という名の「大衰退」、「再教育」という名の「洗脳」、「教い」という名の「奴隷化」などがあり、その最終的な目的は、中国を中心とした世界の「大家族化」である。

日本が中国の家族になるということは、何度もいってきたとおり、儒教的家族観により、15親等、20親等遠い中国人のために私財を吸い尽くされるといことだ。

 

また、チベット侵略はちょうど朝鮮戦争開戦時と重なったため、世界がそちらに注目して見向きもされなかったが、日本においても中国のようなミニ監視社会となり得る「スーパーシティ法案」の審議や可決が、コロナパンデミックに注目が集まってほとんどの国民に関心さえもたれなかったというおなじような現象が起きている。

「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」とは、『ショック・ドクトリン』の著者ナオミ・クラインのことばで、「大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革」のことである。

「惨事便乗型資本主義」「災害型資本主義」とも呼ばれるこの改革を推進するのは「新自由主義者」で、新自由主義者の日本におけるその筆頭が竹中平蔵であり、新自由主義とは、「新」だの「自由」だのと聞こえのいいことばでその実態が隠された、共産主義のことである。

 

新自由主義者(共産主義者)は、災害や惨事を一過性のものと捉えるのではなく、あたかも大災害に備えて缶詰や飲料水を用意するかのように、非常時に備えて自由市場構想を予め準備する。

またそれらは民衆を震え上がらせて抵抗力を奪うために綿密に計画され、急進的な市場主義改革を強行するために利用する。

この行動原理に従っていたために、中国共産党は、武漢から世界中に感染拡大する新型コロナウィルスの初期情報を隠蔽する一方で、世界中からマスクの買い占めを行っていた。

この中国共産党の行動は、竹中平蔵が日本の労働派遣法の改悪を進言して正社員を減らし非正規雇用を増やし、自身が会長を務める人材派遣社への利益誘導としたこととおなじである。

 

急進的な市場経済改革を実現させるには大災害が不可欠であると考える、この現代における最も危険な思想ショック・ドクトリンの根源は、共産主義にある。

ショックと洗脳の実験は、カナダのマッギル大学がCIAから資金を受けて行っており、囚人に幻覚剤を投与するなどして知覚や刺激を奪って長期の孤立状態に置くと、精神が幼児まで退行し、人の言いなりになるという。

この手法は、アメリカのグァンタナモ基地や、イラクのアブグレイブ刑務所の拷問マニュアルと酷似しているといい、人を幼児化させるためには、ショックと長期の孤立状態が必要であるのだ。

つまり、人類最古の文明におけるゼロからの再出発、既存体制の完全な抹消、子どものように従順になれ、などという発想は、聞こえのいいことばで真意が覆われた、個人の精神や知能を退化させて支配者の言いなりにさせるための拷問なのである。

 

かつて、人類の初期のころ、世界には高度に発達した文明があったとされる。

そして、共産主義(新自由主義)の根源はサタン教であるという。

大災害を利用してショックを与え民衆を幼稚化させ、市場を支配するという手法がサタン教の手法なら、高度に発達した文明が滅び人類が退化したのは、その時代になんと呼ばれていたかは知らないが、共産主義思想の蔓延が原因ではなかろうか。

歴史の草創期より、人類は戦争を宗教的な意義正義の戦いと意味づけてきたが、ただの人を聖人化し、ただの侵略を聖戦と呼ぶ欺瞞も、こうしてみると、現代で中国共産党が行っていることそのままだ。

 

■参考図書

ペマギャルポ『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人』ハート出版、2018年

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