2020
02.22

いやな予感

エッセイ

 

 

新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)が広がる中国で、発生源の湖北省武漢市から始まった都市の封鎖措置が同省全域に拡大された。同省の住民約六千万人が外出禁止に近い状態にある。省都の武漢以外では医療体制がもともと貧弱で、感染すると十分な治療を受けられない可能性があり、都市閉鎖といった感染予防措置の厳格化に拍車をかけているとみられる。

 湖北省政府は十六日の通知で、「社区」と呼ばれる居住区単位で「二十四時間態勢の最も厳格な封鎖式管理」を行うように指示した。緊急車両など許可を得た車以外の通行を禁止し、不必要な外出や会合への参加は「法に基づいて強制措置を取る」と規定した。生活必需品も集団購入して配送する方式を導入した。

 さらに厳しい措置をとる自治体もある。孝感市は十七日、市民の外出を「厳禁」とし、違反行為には「一律で十日以下の拘留」と通知した。一方、発熱やせきなどの症状がある人を探すため、麻城市では自ら症状を訴えたり、他人の症状を通報した人に五百元(約七千八百円)の奨励金を払う制度を始めた。(新型肺炎 中国、封鎖拡大 武漢から湖北省全域に

 

ウィルスという見えない危険に触れた可能性があるなら、必要な一定期間隔離することは、自分だけでなく他人を危険にさらさないということだ。

自分だけでなく他人の生命・健康を尊重する意思があるなら、日本政府がこういう態度をとるのがほんとうではと思うのだが、しかし日本政府は、大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で隔離されていた乗客のうち、新型コロナウィルス感染が確認されなかったという乗客を、下船までのあいだに感染したかもしれないにもかかわらず市中に解放した。

これから日本のあちこちで感染経路が不明な感染者や死者が出、その数が爆発的に増えた現実をもってようやく、日本政府は自身の選択が間違いだったことを認めざるを得ない事態になるのだろうけれど、それはたくさんの国民の命が奪われた後なのだ。

でも、それでは遅いのだ。

 

 

だから、冒頭のニュースのように、中国が新型コロナウィルスの発生源である都市(のみならず省)ごと封鎖という隔離措置をとったことは、措置として正しいように感じる。

でも、いやな予感がする。

なぜなら武漢市は、市内と外部を結ぶほとんどの交通網を遮断して物流が途絶えている。

武漢のスーパーマーケットでは30分以上並んで大根と葉物野菜を数個買える程度であり、武漢市民は飢餓を懸念しているという。

 

そして中国の歴史は戦乱と天災の連続であり、大飢饉に見舞われるたびに「共食い」が生じてきた。

中国の史実が正確な歴史の記録とはいえない部分もあるが、黄文雄は『「食人文化」で読み解く中国人の正体』で、中国では前漢王朝以来、単純計算で18年ごとに大飢饉が起こり、民衆同士の大規模な「共食い」現象が発生しているといっている。

そして、飢饉をしのぐために始まった食人は、唐の時代には公設の市場が立ち、食糧として、犬の肉の5分の一の値段で取引されていた。

また高級官僚のあいだでは、儒教思想の「忠義を重んじ、主君または重要人物にはすべてをささげることがモラルである」という価値観により、忠義を示すための食人も行われてきた。

そのうえ、「毛沢東の大飢饉」と呼ばれる破壊的な人災「大躍進政策」で、毛沢東は、農地を工業用地に転用し、数が減った農業者には2倍の収穫量を求め、実力が伴わず面子を保ち、結果、3000万人を餓死させた。

広西チワン族自治区では組織的な人肉食を伴う大虐殺まで行われていた文化大革命は、たった数十年前のことで、習近平は、その毛沢東を目指しているという。

 

1月にアフリカ東部・ケニアなどを襲い、過去25年間で最悪の農業被害を引き起こした4000億匹ともいわれるバッタの群れが、いま中国方面に向かっているという。

バッタの害は中国の3大災害のひとつ(ほかのふたつは水害と旱魃)で、封鎖された湖北省のみならず、中国全土で飢饉が起こる可能性もある。

もしほんとうにそうなれば、そのとき彼らは一体どうするのだろう。

この現代において、いくら中国とはいえ、飢饉すわ食人とはならないと思いたい。

が、そう思えないのが本心で、それゆえいやな予感がするのだ。

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