2020
04.29

同調圧力というチキンレース

その他, 文化・歴史

図書館という図書館が休館している。

この田舎で、新型コロナウィルスの感染拡大を防止するためといって、県立も市立も、国立大学の附属図書館も一斉に、ゴールデンウィークが明けるまでは休館ときている。

こういう未知の状況にでくわしたときは、「あそこまでする必要はなかったね」とあとで笑えるくらい、まずは念には念を入れて対処するのがよいと思っている.

だから、図書館の決断は理解できる。

でも、連日のコロナ禍の報道に否応なく恐怖心を煽られる一方、なぜか公表されていない感染者の情報が耳に入ってきても、どこか非日常的な、べつの世界の出来事のような、うすい膜一枚隔てた外側で起きていることのように感じていたわたしにとって、図書館が一斉に休館したことは、コロナパンデミックの「脅威」を感じるなによりの出来事だった。

そしてその「脅威」は、本来のウィルスがもっているであろう特性以上に、どこか陰険な狂暴性を秘めており、一見正義のような、しかし卑劣で不自然で忌々しいものに感じられるのだ。

 

たとえば休業要請。

要請だから強制ではないといいながら、休業しないパチンコ店の実名を公表してまで休業するよう圧力をかけることについて。

パチンコ店の構造上、休業してくれた方が感染機会を減らせて多くの人の健康と命を守ることにつながる、という主張は筋が通っていると思う。

でもそのことは、要請に応じないからといって店の名前を不特定多数に公表していい理由には決してならない。

実際、大阪府は休業要請に応じなかったパチンコ店に対しては、より強く休業を求める「指示」に切り替えるといい、「指示」には法的に従う義務が生じるという。

ならば「要請」に応じてもらえなかった時点で「指示」をだしていれば済んだ話ではなかろうか。

ほかに取りうる手段があったにもかかわらず、わざわざ実名を晒すというのは妥当な判断だったとは思えず、目的は、多くの人の健康と命を守ることとはべつのところにあるように思える。

真の目的は、だから、実名が公表されるのを見る民衆に「おれのいうことをきかないと、お前らもこうなるぞ」と暗にいうことで怯えさせ、民衆が自分と同じ意見・態度をもつよう心理的なプレッシャーをかけることのように思えてしかたないのだ。

同調圧力というやつである。

 

同調圧力とは、集団で意思決定を行う際、多数派が少数派に対して多数派の意見や態度に合わせるように心理的なプレッシャーをかけることで、少数意見をもつ人に対して暗黙のうちに多数意見に合わさせることをいう。

同調圧力に屈しない人は、「空気を読めない人」「変人」などというレッテルを貼られることにより集団内で孤立したり集団から排除されたりするが、独裁を必要とする人は、集団から排除する目的でわざと同調圧力をかけ、自身に盲従するイエスマンとそうでない人を区別する。

そうして同調圧力に屈しない人、つまり、間違いを指摘したり事実を提示したりして、独裁体制に邪魔な人を排除し、エゴイスティックな体制を固めていく。

 

表向きには聞こえのいい、もっともだと思うことをいっている「左翼」や「新自由主義」、「グローバリスト」に共通するのは、優越思想である。

先頭に立って敵と戦おうとする姿はまるでヒーローで、その主張に共感し、賛同し、協力したくなるが、その実、精力的な言動の源は嫉妬と恨みと復讐心であり、それゆえ他人を見下し、汚れ仕事を側近のイエスマンにさせ、自身のエゴイスティックな独裁体制の維持のために活動している。

外面のよさからは想像できない実態のギャップに驚き、疑いを抱き、事実を追究しようとする人をことさら非難し、同調圧力をかけて「弱い者いじめ」を正当化する。

強い者を盾に弱い者いじめをする事大主義を国是とした李氏朝鮮さながらの優越思想を、いまだに抱いているのが現代の共産主義者たちであり、優越思想の最たる例が「天命を受けた世界の中心」を自称する中華思想で、その筆頭が中国共産党である。

 

左翼エリートは、しばしば新自由主義者を批判する。しかし、実はこの両者は高学歴エリートであり、グローバリストであり、選民思想の持ち主であるという点で共通している。両者とも、表向きには色々な理想を語るが、本音では他人を見下しており、自分さえよければいいという発想で物事を考えている。彼らはその高い地位により、社会的影響力のある発言権が与えられることが多いが、自国が破壊されたら外国に逃げるつもりでいるので、その発言内容は無責任なものであることが多い。

これまで、私はフェロー・トラベラーズを左翼中核層の一部と位置付けてきたが、これは修正する必要があると最近感じている。彼らの動機は社会に対する憎しみに近いものはあるが、見下しと言う方がより正確である。さらに、彼らには利権層や浮動層とも重なる部分がある。左翼エリート層は裕福ではあるが、いわゆる成り上がりなので、金に対する執着や虚栄心も強い。このように、彼らは左翼のどの層とも共通する部分があるので、左翼運動に一体感を持たせる意味で非常に重要な役割を果たしていると見ることができる。(左翼エリートの選民思想(前編)より)

 

共産主義者たちは成り上がりで虚栄心が強く、負けず嫌いのため、その内部では相手を屈服させようとして互いに強引な手段をとりあうチキンレースが行われるようになる。

どれだけ金を儲けたとかなにを得たとか、取るに足らないものをいちいち自慢したりひけらかしたりする。

共産主義者の中にはキリスト教を真似たニセモノの宗教の特色「人神」思想により「独裁者に従順な羊となる」ことを求める者もいるため、チキンレースはやがて、「人神」のためにどれだけ大切なものを捨てられるかを争うものになる。

そうして「人神」のために金や時間や労力を捨ててチキンレースに参加する「従順な羊」たちは、内部の同調圧力により、やがて全財産や命をも投げださざるを得なくなる。

 

政府の「要請」を受けて国民が「自主的に」休業したのなら、政府は補償する必要がないといって責任逃れができる。

たとえそのことで国民が財産を失い命を落とすことになっても、それは「自由意志」であり「自己責任」だから、政府は責めを負わない。

そういう、自身の横暴と無責任を正当化しようとする歪んだ優越思想を、「実名の公表」からはありありと感じたのだ。

そしてこの、政府の「心情」を「察して」「自らの意志で」財を失うことを促す同調圧力は、「人神」による「地上天国」のために「すべてを捨てる」チキンレースと本質的になにも変わらない。

卑劣な手口で病原菌をまき散らし、コロナパンデミックを引き起こした加害者でありながら被害者のふりをし、責任を他人になすりつけて逃げる中国共産党と本質的になにも変わらない。

一部の共産党員のために民の人権が蹂躙されている中国となにも変わらない。

 

コロナパンデミックは、DVや離婚が増えるなど、これまで覆い隠されていた種々の問題をあぶりだしているという。

そのひとつには、中国共産党の工作にはまった政治家だけでなく、一見無関係に見えて、じつは中国共産党と本質的に変わらない一般人や団体が浮き彫りになってきていることもある。

このままわたしたちが無責任な独裁者による同調圧力に屈しつづければ、独裁者は「一定の支持が得られた」と勘違いする。

その勘違いはやがて、基本的人権を認めない憲法改正を「国民が求めている」という都合のいい解釈をもたらし、日本を本格的に中国化させる。

 

歪んだ優越思想による独裁を正当化する共産主義者と、きっぱりと手を切って離れる。

これまで信じてきたものを失うことはかんたんなことではないが、その勇気と決断が、世界をいまより生きやすい、がんばった人が必ず報われる世界に変える準備になる。

 

■参考図書など

左翼エリートの選民思想(後編)

新型コロナウイルス問題 中国共産党との戦い方

なぜ人は共産主義に騙され続けるのか

リサマリクラ『そして安倍晋三は終わった-「天命を受けた世界の中心」を自称し暴走する中国と一党独裁安倍政権の危険な類似点-』

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