2020
04.17

『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』と意図的に不況をつくりだし救世主を自演する共産主義者

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「敗戦革命」で全世界を共産主義化することを目論むソ連発のコミンテルンは、「敗戦」のために「戦争」をつくりだす。

資本主義国に共産党をつくり、政権に浸透し、国が戦争をするよう仕向ける。

学校の授業で日本は第二次世界大戦でアメリカと戦って負けたように習う。

当時アメリカを含む連合国を指導し、日本の真珠湾攻撃を契機に第二次世界大戦に参戦したアメリカ第32代大統領フランクリン・ルーズベルトは、世界の平和を脅かすのは「ナチス・ドイツと日本だ」と考えていた。

「ナチス・ドイツと日本をけん制するために、ソ連と手を結ぶべきだ」と考え、一方日本は、「ソ連・コミンテルンだ」と考えていた。

この認識の違いがその後ながく続く日米関係の齟齬の原因なら、日本が負けたのはアメリカではなく、共産主義者たちの謀略である。

 

『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』では、ルーズベルト政権下で、ソ連・コミンテルン、米国共産党のスパイがどれほど大がかりな秘密工作をくり広げていたかを、日本政が作成した「米国共産党調書」という報告書を用いて示している。

 

改めて指摘しておくが、コミンテルンとは一九一九年、ロシア共産党のレーニンが主導してモスクワで創設し、一九四三年まで存在したロシア共産党主導による国際組織のことだ。日本共産党はこのコミンテルンの日本支部として発足したし、中国共産党もコミンテルン中国支部として発足した。

この「コミンテルン」といのは通称で、実際の名称は「第三インターナショナル」でだ。第三というのだから、第一、第二も存在する。

第一インターナショナル(国際労働者協会)は一八六四年、欧州の労働者、社会主義者がロンドンで創設した。趣意書は『資本論』を執筆したカール・マルクスが草起した。だが、組織内分裂によって一八七六年に崩壊した。

第二インターナショナルは一八八九年、パリで創設された社会主義者の国際組織である。ストライキやテロといった直接行動ではなく、選挙による議会進出によって労働者の条件改善を目指したが、一九一四年、第一次世界大戦の勃発によって崩壊した。

この第二インターナショナルの影響は全国各地に残り、選挙による議会進出によって労働者の条件改善を求める政党は、民主社会主義政党としてその後も活動を続けている。この民主社会主義者たちは一党独裁のコミンテルン、共産党とは一線を画している。

この第一、第二インターナショナルの崩壊を受けて、ソ連のウラジミール・レーニンが一党独裁と武力革命も辞さずとの方針で世界の社会主義政党とのネットワークを構築し、世界の共産化を目指したのが、コミンテルンだ。

こうした世界の共産主義運動の影響を受けて、米国でも一八七四年に共産主義者たちが労働運動団体を創設したのだが、≪資本家に対し、労働階級を扇動するのみで、世論の支持を得るのに必要な政治手腕を欠いていた≫ので、大した広がりは持たなかった。

資本家を敵視するイデオロギーを掲げるだけで組織的広がりに欠けた米国の共産主義運動が大きな転機を迎えたのは、急進的な共産主義革命を説いたレーニンの登場と、第一次世界大戦の勃発、そして一九一七年のロシア革命の成功によってであった。(p.81-83)

 

アメリカではさほど広がらなかった共産運動に、転機が訪れたのが1929年の大恐慌である。

大恐慌とは、1929年10月24日、ウォール街にあるニューヨーク株式取引所で株式が大暴落したことが発端となって起こった経済不況で、1930年代に入っても景気は回復せず、企業倒産、銀行の閉鎖、経済不況が一挙に深刻になって、1300万人(国民の25%)の失業者をだしたといわれている。

 

元ニューヨーク・タイムズ記者のティム・ワイナーはこう指摘する。

 

≪大恐慌のもたらした荒廃が共産主義運動に礎石を提供した。一九三〇年にはほぼ八百万の人々が職を失った。何千もの銀行が破産し、全国で工場の生産ラインの四分の一が止まった。ハーバート・フーヴァー大統領は行動したがらない、あるいは行動できない様子だった。議会も助けになることはほとんど、あるいはまったくしなかった。米国共産党は激しい内部抗争にもかかわらず、労働組合や実業労働者の間にかなりの支持を固め始めた≫(『FBI秘録 上』)

 

日本外務省の『調書』も、大恐慌が追い風になったことを次のように指摘している。

 

≪一九二九年のラプストーン追放に伴うフォスター・ブラウダー派の勝利は、当時の共産党に重大な影響を及ぼしたが、ちょうどこの頃、共産党に重大影響を与えた他の事件が起こった。それは米国史上未曽有の好況の終末を告げた株式市場の崩壊であり、これによって招来する深刻な状況は共産主義培養の理想的条件となった。

不景気に伴う失業者の増加を利用し、共産党は首都および大都市において「飢餓行進」(HangerMarch)を組織し、社会不安を煽り、大資本主義組織そのものを攻撃した。そして銀行家および産業資本家は国富の略奪者であると同時に、労働階級の搾取者であるとして非難した。≫

 

共産党にとって不景気こそ党勢拡大のチャンスなのだ。言い換えれば、景気が良ければ、人々は共産党などには見向きもしない、ということである。(p.108-110)

 

つまり、共産主義者たちの目論む「敗戦革命」を阻止し、彼らの謀略にはまらない最たる手段は、お金を世の中に回すことである。

事業者も労働者もたくさんお金を稼ぎ、たくさん使い、たくさん納税する、その税金が、生産する能力をもつ者があらたな価値を創造するための後押しになる、という資本主義社会の当然の連鎖が、共産主義者たちの毒牙から逃れる唯一で最善の方法である。

現代の日本で、重税や手薄い助成・給付金、さらに支給が遅すぎるなど、共産主義の謀略にはまらないための状況とは正反対の、むしろ共産主義者に利するような政策がとられているのは、もちろん偶然ではない。

現代の日本がそうされているように、大恐慌当時、アメリカでコミンテルンが工作をしかけたのが、マスコミであり、出版であり、キリスト教であった。

 

米国共産党の宗教団体工作が成功したもう一つの要因は、大恐慌と内部穿孔工作の採用だ。一九二九年の大恐慌によって失業者が街に溢れるようになると、アメリカのプロテスタント宗教は社会主義に共鳴し、労働争議に理解を示すようになっていく。

≪一九三〇年、カナダ合同教会(メソジスト教会が改称したもの)は、トロント会議を開き、「イエス・キリストの教えの適用は資本主義制度の終焉を意味する、というのがわれわれの信念である」という言葉を含む宣言を発表している。大恐慌がもたらした惨状がすぐに資本主義の廃止に結びつく発想は、今日のわれわれからは短絡に思えるかもしれないが、第一次大戦後の生産力の発展を目の当たりにし、永遠の繁栄が疑われもしなかった「二〇年代」のあとゆえ、衝撃は大きかったのである。現在に比べれば社会福祉も、国家による経済活動への介入も非常に少なかったこの時点で、あまりにも極端な経済的不平等、民衆の生活の悲惨さの解決は、急進主義にとって焦眉の急であった≫(中野利子著『外交官E・Hノーマン』新潮文庫)

そこで一九三三年、米国共産党は内部穿孔工作を担当する「フラクション部」に「キリスト教教会委員会(Church Committee)を創設し、プロテスタント宗派に対して工作を強化したところ、急速に影響力が拡大することになった。(p.236-237)

 

 ちなみにエドガー・フーヴァーFBI元長官は、共産主義運動に関与する人物を次の五つに分類している。

〇公然の党員

〇非公然の党員

〇同伴者(フェロー・トラベラー)……共産党が示した特定の問題についての対応や解決策への強い共感から、共産党のための活動をする非共産党員。

〇機会主義者(Opportunists)……選挙での票や賄賂といった個人的な利益のため、一時的に共産主義者たちと協力する人たち。

〇デュープス(Dupes)……間抜け、騙されやすい人々という意味。明確な意思を持って共産党のために活動をする人々ではなく、ソ連やコミンテルンによって運営される政党やフロント組織が訴える普遍的な“正義”に対して情緒的な共感を抱き、知らず知らずのうちに共産党に利用されている人々。(P.249-250)

大恐慌時代のアメリカが現在の日本に重なるのは、当時、アメリカ共産党員に利する行いをした聖職者たちも、決して共産党員ではなかったからだ。

反ナチス、反日親中という、共産主義者が吹き込んだ虚像を苦しみの原因であると純粋に信じ、あるいは救いの教理の辻褄を合わせるために、共産党の政治方針に賛同したにすぎない。

しかしアメリカ共産党は、労働組合や宗教団体の中にこの「デュープス」たちを作ることで、それらの団体をコントロールし、共産主義を広めることに成功した。

日本人は人を疑ったり批判したりするのが得意でないが、指導者が従順をよしとすればするほど、その指導者が共産主義者である場合、従う者は無自覚に共産主義化の謀略の片棒を担ぐという悲惨な事態を招く。

共産主義の実態を知らず、聞こえのいいことをいう指導者の共産主義的性質を見抜けないまま追従する現代日本は、ほとんどが無自覚に破滅に向かっている「間抜けな騙されやすい人」たちなのだ。

 

共産党にとって不景気こそ党勢拡大のチャンスなら、不景気を改善できない、あるいは改善しようとしない政権は、共産党でなくとも共産主義者と断じるほかない。

アベノミクスで不況を推し進めた安倍晋三は、ならば筋金入りの共産主義者であると断じるほかない。

しかし安倍晋三が終わったとしても、つぎの首相がより共産主義者であるなら日本の破壊はますます進む。

それには共産主義に利さない指導者を選ぶ必要がある。

 

だからまずはわたしたちが、指導者だからという理由で鵜呑みにすることは決して美徳ではないと考えを改める必要がある。

戦後美徳とされた価値観は、共産主義者によって捏造された虚像が多いことを知り、共産主義の実態を知り、聞こえのいいことはいうが共産主義者のやり方をする人を見抜き、共産主義者を自身の人生から排除する勇気を身につける必要がある。

そしてそれが生きるということだと思う。

 

■参考図書

江崎道朗『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』育鵬社、2020年

 

 

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