2020
03.05

「王の私はよく頑張った。世界が悪くなったのは、だからあなたがた民が頑張らなかったせいだ」

エッセイ

 

中国武漢発の新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)は世界的に流行し、感染者が確認された国と地域は、2020年3月5日現在、中国と日本を含む83にのぼっている。

韓国やイタリア、イランでも毎日数百人単位で増加している中で、中国の感染者は減少していると中国は発表しているが、武漢発であることに違いはないこの感染症について、中国は中国での感染者が減少していることを理由に、世界中に拡大した原因を韓国や日本のせいにしている。

 

中国国内で最初の感染者が確認されたのが2019年12月8日。

このころから武漢の医師らによりSNS上で伝えられていた感染についての情報を中国政府は隠蔽し、中国政府がWHOに武漢で発生した原因不明の肺炎について報告したのが12月31日だった。

中国官営メディアが初めて報道したのが2020年1月9日。

習近平国家主席が新型コロナウイルスによる肺炎における指示を初めて出したのは1月20日で、このとき習近平は「断固としてウイルスの蔓延を阻止するように」と命令し、情報の即時公開などを指示したが、すでに病気の最初の発生から40日以上が過ぎていた。

新型コロナウィルスの感染が世界中に拡大したのは、中国政府が最初に感染者が確認されたときにその情報を隠蔽したからであるのに、それを中国は他国のせいにしているのだ。

 

2月15日、中国共産党中央委員会の機関誌「求是」(2020年4月号)のウェブサイトは、「新型コロナウイルス肺炎疾病に関して研究し対応するための活動時の講話」というタイトルの記事で、2月3日に開催した中央政治局常務委員会会議における習近平の発言を発表した。

そこには「習近平が1月7日の会議で新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大防止策を要求した」ということが習近平本人によって書かれているが、新華社が2月3日に発表していた中共中央政治局常務委員会議プレスリリースには、その部分が存在しない。

つまり習近平は、言ってもいないことをあとになって言ったことにし、新型コロナウィルスの感染拡大防止のためにいかに自分が頑張っているかをアピールすると同時に、初動の情報隠ぺいが理由で感染が世界中に拡大した責任を、韓国や日本になすりつけようとしようとしているのである。

 

この、言ってもいないことをあとで言ったことにする、あるいは、言ったことについて「解釈が違う」と責任逃れをし、その尻拭いを国民がする羽目になる様には、現代を生きる日本人は既視感があるのではないか。

なぜならそれは、中国に習近平がいるように、日本には安倍晋三がいるからだ。

突然の一斉休校要請もそう。

実際は各自治体に丸投げするしかない無計画を、「強いメッセージ」などと聞こえのいいことをいう本心は、恰好だけつけたくて責任をとりたくないのであり、自分が助かれば国民がどうなってもかまわないのである。

だからそんな人のいうことを信じれば信じるほど、現場は混乱しなにもしないより状態が悪化する。

 

休校の目的が本当に子どもたちを守るためといいながら、全中国人を入国禁止にしない矛盾。

そのことに自身が気づかないばかりか、国民がその矛盾に気づいていることにも気づかず、実態と現実をみず画一的な苦行のような忍耐を強いるのが「天命を受けた世界の中心たる天子」という自惚れた中華思想と天命思想の弊害である。

そして世界の中心を自称する中国と天命を受けた中国皇帝たる習近平にすれば、中華の蛮族たる韓国や日本が尻ぬぐいをすべきであると考えている。

新型コロナウィルスの世界的汚染の責任をなすりつけようとするのは、これまでよくしてきた相手に恩をあだで返す中華思想の定石だ。

 

「王の私はよく頑張った。世界が悪くなったのは、だからあなたがた民が頑張らなかったせいだ」。

そういうことを、平然といってしまえるのが中華思想と天命思想の弊害だ。

そのような人に人生の大事なことを決定させる権力を与えれば、その国は他人のせい王国になり、民は王に大切なものを奪われ、やがて殺される。

果たして人は、王に大切なものを奪われ、やがて殺されるために生まれてきたのか。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。