04.15

『日本占領と「敗戦革命」の危機』とコロナパンデミックによりつくりだされる経済的敗北、およびそれに乗じた革命の準備を進める共産主義者たち
日本はGHQの呪いにかかっているといわれる。
第二次世界大戦で日本を含む「枢軸国」と敵対したアメリカ合衆国・イギリス・フランス・ソ連・中国などの連合国は、日本占領中、総司令部GHQを設置した。
そのGHQが日本への占領政策で最も重要視したのが「教育の改革」で、日本人が自国を愛する心を悪として、罪悪感や劣等感をすり込む「教育」を行った。
1945年、日本がポツダム宣言を受諾し、日本が「敗戦」して第二次世界大戦が終結した。
しかしその後もアジアに平和は訪れず、ソ連は千島列島と北方領土への侵略を続け、中国や朝鮮では国共内戦や朝鮮戦争がおこった。
日本が「敗戦」を受け入れたことで終わったのは「戦闘」であり、そのあと日本は「日本で共産革命が起こり、ソ連・中国共産党の影響下に入る」という「最大の危機」に直面した。
「戦争を煽り、その国を「敗戦」へと追い込み、その混乱状況から内乱・革命を惹引し、それに乗じて共産主義者たちが権力を握る」という「敗戦革命」が中欧諸国とアジアを襲ったと、『日本占領と「配線革命」の危機』には書かれている。
そして日本も、この「敗戦革命」のターゲットであった。しかも、ソ連にとって日本はメイン・ターゲットであった。
(中略)
日米英の矛盾を徹底的につき、イギリスとアメリカでは反日を叫び、日本では「鬼畜米英」、つまり、反米、反英を叫んでこの三国を戦わせようというわけだ。
一九三五年に行われた第七回コミンテルン大会では、「新しい世界帝国主義戦争が発生した場合には、共産主義者は、平和のための闘争の中で組織された戦争反対者たちを率いて、帝国主義戦争を(中略)資本主義の打倒をめざす内乱に転化するための闘争に進ませることに努力する」と決議している。
コミンテルンは、世界各国の共産党員に対して、日米英という資本主義国家同士の戦争を煽る一方で、「戦争反対」を叫んで平和を望む人たちを共産党の見方にする宣伝工作を仕掛けろと指示したのだ。
共産党が政権を奪う手段の「本命」は、決して共産主義の素晴らしさを宣伝して共産主義者を増やしていくことでもなければ、各国の議会で共産党の議席を増やして大一党になることでもなかった。
レーニンのロシア革命成功に倣い、資本主義国同士を仲たがいさせて、戦争による破壊と混乱を引き起こし、それを利用して革命を起こすことだったのである。
戦争が発生した場合に共産主義者が従うべき政治綱領は、次の三つだとされた。
(1)自国政府の敗北を助成すること。
(2)帝国主義戦争を自己崩壊の内乱戦たらしめること。
(3)民主的な方法による正義の平和は到底不可能なるがゆえに、戦争を通じてプロレタリア革命を遂行すること。
アジアにおいては、まず日米英を戦わせ、アメリカを使って日本を敗戦に追い込んだうえで、中国共産党による中国革命を成功させ、さらに敗戦後の日本国内に混乱を起こしながら日本を共産化する。それがソ連、そしてコミンテルンの狙いであった。「戦争は手段、目的は革命」なのである。(p.43-46)
GHQは、アメリカの軍人であるマッカーサーが最高司令官を務め、第二次世界大戦が語られる際はアメリカの強さが強調されるため、さもアメリカの組織であるかのような印象を受けるが、実態は「連合国軍最高司令官総司令部」という「連合国軍」の機関である。
その連合国軍にはソ連や中国という共産主義国が名を連ね、しかも世界を共産主義化しようとしていたコミンテルンが、アメリカとの戦争を通じて日本を共産主義化する計画を早い段階から練っていたというのである。
第二次世界大戦で日本が敗戦したということを学校で習い、戦争は恐ろしく罪ぶかいものだというテレビ番組が放送され、終戦を記念する式典が毎年行われても、共産主義の実体やその危険性について、日本の学校で教えることはほとんどないし、大手メディアが放送することもほとんどない。
だから、「GHQの呪い」とは、日本がアメリカのいいなりになったことではない。
日本人にかけられた呪いとは、「共産主義の事実を知らされない」ことであり、「共産主義者がつかう手口を知らない」ことであり、それゆえ、自身では共産主義に賛同しているつもりがないのに共産主義者に利する行いをしてしまい、やがて身の破滅に見舞われる悲劇が現在進行形で純粋な日本人にふりかかっていることである。
第二次世界大戦の最中、日本の「敗戦革命」のための工作は、中国でも行われていた。
日本共産党の幹部でコミンテルンでも大きな役割を果たしていた野坂参三が中国大陸に渡り、中国共産党の本拠地・延安で日本軍兵士を洗脳し、その後中国共産党も、「二分法」とう方法で日本人捕虜を洗脳していったというのである。
中国共産党が日本人捕虜を説得するのに大きな効果を発したのは、「二分法」という枠組みである。
日本はいま、中国を侵略しているが、日本人全員が悪いのではない。悪いのは戦争を起こした一部の軍国主義者であって、彼らによって洗浄に駆り立てられた日本人兵士や、軍国主義者の支配の下、日本で貧しい生活をしている労働者たちは被害者である。日中両国の人民が協力して軍国主義者を打倒し、日本の兵士や労働者や農民を解放するべきだ――そういう考え方である。
(中略)
日本人捕虜の「思想改造」教育プログラムのなかで「二分法」は最初期の段階から重視されていた。「敵軍工作ハンドブック」は、最初の約一週間の短期教育で捕虜に理解させるべき内容を次のように述べている。
≪1 なぜ中国と日本の間で戦争が勃発したのか? 誰に責任があるのか?(日本人の支配階級の者が侵略戦争を起こしたため、中国人は自己防衛のために戦っていると説明する。)
2 だれかれに関係なく、すべての日本人は極限まで働かされているのに、なぜ金持ちがいつも利益を得、なぜ貧しい者は一定期間を前線に送られるのか? なぜ上官が面白半分にビンタするのか?(日本人兵士、労働者、小作農、インテリ、零細企業の社員の階級意識を啓発する。)
3 八路軍はどんな軍隊か? なぜ彼らは殺さないのか? また、なぜ捕虜を有効に満ちた態度で扱うのか?(敵の逆宣伝のベールを取り払い、特権階級システムを取り除き、八路軍が労働者と小作農からなる軍隊であることを強調せよ。)
4 どのようにして戦争を停止するのか? どうすれば平和な世界を作ることができるのか?(中国領土からの日本人軍隊の退却が中国に自由と独立をもたらし、日本人兵士は自分の故郷に帰って初めて平和な生活を送れる。彼らに厭戦気分と反戦意識を先導する)≫
これは、欧米の植民地主義で使われた「ディバイド・アンド・ルール」(「分断して統治せよ」)の手法と本質的に同じなのだが、共産主義の「ブルジョワジーとプロレタリアート」による階級闘争史観の基本的な枠組みでもある。
そして、実は後述のように、日本人を軍国主義者とその被害者に分ける「二分法」が中国共産党からアメリカのルーズヴェルト政権に伝わり、その後、いわゆる東京裁判史観の基本的な視点となっていくのである。(p.138-140)
つまり中国共産党は、1「いま私があなたを苦しめるのは、私やあなたではなくあなたの上の人たちに原因がある」、2「あなたはその上の人に搾取される側だ」、3「じつは私も私の上から搾取されてきた側だ」、4「だからこの戦争を終わらせ世界を平和にするためには、あなたが私と同じ考えで動く必要がある」といって相手を弱体化させ、共産主義思想を刷り込んで意のままに動かすのが特徴である。
そして相手の弱体化は、現代では経済的に困窮からももたらすことができる。
武漢コロナウィルスの感染が日本国内でも拡大し、国が外出自粛を要請しても休業の保障はしないことは、つまり、感染か貧困という、健康あるいは経済的な弱体化に迫られる人を増やすことである。
休業補償について自民党は、自己責任論を振りかざし、幹部が「これでもたない会社はつぶす」と発言したともいわれるが、彼らが中国共産党の工作員なら、日本を弱体化させるためにこのコロナパンデミックを利用しないはずがない。
共産主義は「神のいない宗教」とも呼ばれるが、カルト宗教は信者に献金させる。
意図的に経済的に困窮させることができれば、共産主義を刷り込める。
DVの特徴に「金銭の使途を細かくチェックする、生活費を渡さない」というのがあるが、私有財産を禁止する共産主義はまさにDV主義なのであり、「大声で怒鳴る」「人とのつきあいを制限する」が加わるなら、ありのままの中国共産党だ。
一見べつべつな、はっきりとそれとはわからないいくつかのことを通して、きょうも「敗戦革命」の準備は着々と進んでいるのである。
■参考図書
江崎道朗『日本占領と「敗戦革命」の危機』PHP研究所、2018年
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