08.06

風説の流布とインサイダー取引と有名ワイン3
風説の流布とインサイダー取引を得意とするロスチャイルド家の力がその格付けにつよく及び、高尚な嗜好品として世に出回っているワインですが、中世、それを権威付けしたのはカトリック教会でした。
カトリック教会はあらゆる象徴のなかでぶどうをもっとも重視し、ぶどう栽培の権威を増しました。
11世紀のある聖職者は、こう語ったといいます。
「威厳ある姿のニレの木は実をつけることこそないが、すくなくともその幹がぶどうの木とその実の支えとなる。それらは、義務によってカトリック教会とその信仰活動を支えることの世の偉大なる人々の似姿なのだ」
つまり、カトリックは義務がこの世を支えていると考えていたのです。
カトリック教会があらゆる象徴のなかでぶどうをもっとも重視したのは、おそらく聖書でぶどう酒がイエス・キリストの血に、あるいは、ぶどうの木がイエス・キリストにたとえられているからだと想像します。
イエス・キリストは、人類を罪から救うために磔にあって亡くなりました。
それはとても偉大なことで、世界を支えていることです。
しかし、そのことと、「義務によって支える人びとを偉大とする」ことは、まるでべつなことです。
目的がちがっているからです。
中世、ぶどう栽培が権威付けされたのは、「上流階級の生活を彩るのに必要不可欠な要素であり」、「あらゆる社会的威厳の明確な表現であった」だったからで、カトリック教会がそれの権威を増したということは、カトリック教会は上流階級と社会的威厳のために活動していたということです。
そのカトリック教会の総本山はバチカンです。
1870年、ロスチャイルド家はバチカンへの融資を開始し、ロスチャイルド家がカトリック教を金融支配するようになりました。
バチカン銀行は、原則として他国の捜査機関が指一本触れることのできないアンタッチャブルな世界のようで、それゆえ、麻薬資金などの巨大な洗浄装置として悪用されるようになったといいます。
一説によると、バチカン銀行は資金洗浄額の10%以上を手数料として受けとり、得た利益をべつな国に送金しているともいわれています。
有名ワインは、ものによっては一本数百万円、年代によっては数千万円にもなり、一体どんな人が買うのだろうとかつて疑問に思ったことがあります。
たしかに芸術作品と考えると値段などあってないようなものですが、有名高級ワインを有名高級ワインたらしめている存在のなんたるかを知ると、想像を絶する価格が成立する背景には、庶民のあずかり知らぬ事情が存在することがわかります。
■引用・参考文献・資料
ロジェディオン・福田育弘・三宅京子・小倉 博行『フランスワイン文化史全書 ―ぶどう畑とワインの歴史』国書刊行会、2001年
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