12.09
貧しくも高貴であったが、豊かで卑劣になった日本における、独占禁止法違反とワクチン騒動
「日本人は貧しい、しかし高貴である。世界でどうしても生き延びて欲しい民族をただ一つあげるとしたら、それは日本人である」-ポール・クローデル
駐日フランス大使を務めたポール・クローデルは、この言葉を、太平洋戦争の最中、日本の敗戦が濃厚だったときにパリ晩餐会のスピーチで口にしたというのだから驚きだ。
当時、ドイツと戦っていたフランスにとって、ドイツの同盟国だった日本は敵国だったが、その敵国の国民について、フランスで開催された晩餐会の出席者にむけて表現されたこの言葉は、もしかすると100年前よりも、いまの日本人の心をもっと揺さぶるかもしれない。
ことし2021年は、クローデルが日本に着任して100周年となる年だそうだ。
「あれほど古い文明をそのままに現在に伝えている民族は他にありません。日本の近代における発展、それは大変目覚しいけれども、私にとっては不思議ではありません。日本は太古から文明を積み重ねてきたからこそ、明治になり急に欧米の文化を輸入しても発展したのです。どの民族もこれだけ急な発展をするだけの資格はありません。しかし、日本にはその資格があるのです。古くから文明を積み上げてきたからこそ資格があるのです。」
のちに太平洋戦争に敗れた日本は、降伏文書の調印によって主権が失われ、アメリカなど連合国による占領下におかれ、占領政策を日本政府に指令するGHQの「指導」のもと、国内の改革が進められていった。
帝国議会は憲法を改正し、メディアは国民に戦争への罪悪感を植えつける宣伝を連日流し、学校は子どもたちに日本の歴史を自虐的に教えた。
そうして75年が過ぎたいま、日本人は日本人であることに誇りがもてなくなった。
戦争から時間が経てば経つほど、日本とはまるで、いつまでたっても許されない罪を贖わされているような、透明な重しに囲まれて生かされているような感じがする。
その解決策を知らない大人たちが、知らないことを知られまいとして知ったかぶりをしている、ということを大人になるにつれわかっていく子どもたちが、では自分にはなにができるかがわからず立ち止まってしまう、ということがくり返されて時間ばかりが過ぎていく。
けれど、前回書いた、ユーリ・メズベノフ氏が語る共産主義者のスパイ活動の実態を日本にあてはめて考えると、すくなくとも戦争を起点としたこれまでの日本の歴史はまるでちがったものに見える。
日本人が日本に生まれたことを誇りに思えないという呪縛の原因となった、世界を巻き込む戦争や、日本の「敗戦」、それを理由にした憲法改正、国民に罪悪感を植えつける宣伝や歴史教育の改変は、アメリカがそうされたように、日本を共産化するための工作の一貫であったことが理解できる。
敗北感や罪の意識を植えつけて強者のいうことをきかせるというこの共産主義スパイの戦略は、いまとなってはあまりにも日本社会を侵略していて気づかれにくいが、受験戦争や学歴差別はいかにもその典型で、そこがトラウマになっている人は少なくない。
受験以外にも、恋愛とか結婚とか子育てとかビジネスとか人それぞれにあると思うけれど、トラウマになるほどの敗北感と罪悪感は、突きつめると、この共産主義スパイの戦略にはまった結果であることを示している気がする。
そのトラウマにさらに敗北感と罪悪感を抱きつづけ、こじらせて自身もまた次の世代に敗北感と罪悪感を抱かせる態度をとるのか、理性的に突きつめてその解決方法を追求するのかは、いまの時代に生きているからこそ選択しやすいのだと思う。
トランプ大統領が対抗すると公言したこの共産主義、「DS」なる国家に深く潜りこんで世界を動かしている勢力とは、言い換えると「国際主義」である。
「グローバリズム」「共産主義」「社会主義」「リベラル思想」「ネオコン」「新自由主義」などさまざまな呼ばれ方をしているが、国際主義は共通して「国家の価値や民族の価値を否定し、ナショナリズムを消滅させて世界政府を樹立すること」を最終目的として活動している。
日本人が日本人であることに誇りがもてなくなったのは、国際主義が世界をワンワールド化するための戦略に、日本人が無自覚のうちに巻き込まれて洗脳されてきた結果である。
日本人であることを誇りに思えないという呪縛を解くには、だから彼らの目的と手口をよくわかって意識的に受け入れないということが有効で、その助けになると思うのが、冒頭に書いた100年前のポール・クローデルの言葉だ。
それとおなじような言葉を、馬渕睦夫氏は『アメリカの社会主義者が日米戦争を仕組んだ 「日米近現代史」から戦争と革命の20世紀を総括する』で書いておられる。
ところで、読者の皆様にはここで考えてほしいのです。アメリカが慈悲から日本をよくしてやろうと思って占領工作を行ったのではありません。日本人を洗脳することが日本に戦争を仕掛けたアメリカの国際主義者にとっては必要だったのです。日本は戦争に敗北しました。そんな日本人を完膚なきまでに洗脳することが、なぜ彼らにとっては必要だったのでしょうか。
その答えは、彼らは精神的に日本に勝利できなかったことです。したがって、精神的に勝利するために、彼らは日本人の国際主義者に改造しようと努めたのです。
国際主義が持つ精神面の要素とは、国家の価値よりも世界の価値、すなわち、「彼らが設定した普遍的価値」を上に置くという思想です。日本人は人類の普遍的価値の重要性は十分認識していると言えるでしょう。しかし、日本人固有の価値観を完全に失うことはなかったのです。むしろ、最近では日本の伝統的価値観が見直されている状況にあると言えます。
これは、ひとえに日本国民の民度が高かったからだと思います。いくらメディアや知識人が「国際主義」の笛を吹いても、多くの国民は踊らなかったのです。(p.227-228)
馬渕氏は、自身の動画で、いまの日本をクローデルが見たらなんと言うだろうか、「豊かになったが卑しくなった」と残念がるのではないか、というようなことを言っておられる。
けれど、でも国際主義の正体がアメリカの不正選挙で明るみにでたことで、彼らの目的は果たされないであろうとも言っておられる。
「グレートリセット」という国際主義が目指す抜本的な経済・社会システム基盤の変革は、本質的には、わたしたちの弱みにつけこんでねじ伏せようとするものである。
世界を騒がす新型コロナウィルス感染症もまた、わたしたちが諦めて無抵抗になる心理状態を作りだすために国際主義者に利用されている。
だからこそ、わたしたちが諦めず無抵抗にならないことが重要なのだ。
新型コロナウィルス感染症が、防疫目的ではなく国際主義の計画成就のための戦略のひとつとして扱われているのなら、感染予防に用いられるワクチン接種もおなじように扱われているはずだ。
たとえば、「これは健康によいはずのお菓子です。あまりよくわかりませんが、これを食べた人は健康を保ちやすくなるはずで、自身の不健康の弊害を他人に与えにくくなるはずです。食べておなかがゆるくなる人もいますが、そうでない人もいます。まれに心臓の筋肉が炎症を起こしたり、血圧の低下や意識障害を起こすこともありますが、人それぞれです。食後、謎の死を遂げる人がいます」と勧められて、あらいいわね、いただくわ、とすぐに手に取る人は少ない。
予防そのものは悪じゃない。ほんとうにいいものなら取り入れる。
でも、それはいまじゃない。
そういう、決断を躊躇うものを摂取したか否かを日常の社会生活のあちこちで問われることになれば、これまで躊躇ってきた人や、納得して決断しようとしている人が、半ば強制的に摂取することを余儀なくされることになる。
それは、自分のことは自分で決めるという権利や、自分の幸せを追求するという権利を犯すことになるのだし、接種した人と摂取していない人を理由なく差別することにつながる。
ワクチンパスポートの導入は、だから事実上のワクチン接種強制であり、非接種者への差別をもたす。それは憲法に違反する、だから反対である、という以下の埼玉弁護士会の声明は、じつに明快でわかりやすい。
ワクチンパスポート制度によるワクチン接種の事実上の強制及びワクチン非接種者に対する差別的取扱いに反対する会長声明
ワクチンパスポートという、国民にワクチン接種を事実上強制する事業が国内のあちこちで立ち上がっている、そのおなじ日本で、楽天グループが楽天市場の出店事業者のうち、「共通の送料込みライン」への不参加店舗に対して出店者側に送料無料化への参加を余儀なくさせる行為については、独占禁止法違反の疑いがあるといって公正取引員会が審査するのだ。
公正取引委員会は,楽天グループ株式会社(以下「楽天」という。)が,楽天が運営するオンラインモール「楽天市場」に出店している出店事業者に対し,「共通の送料込みライン」(注1)を令和2年3月18日から一律に導入することを通知するなどしたことから,同年2月28日,東京地方裁判所に対し,楽天が「共通の送料込みライン」を一律に導入することの一時停止を求め,独占禁止法第70条の4第1項の規定に基づいて緊急停止命令の申立てを行った。
こうした中,楽天は,同年3月6日,店舗の選択により「共通の送料込みライン」の適用対象外にできる措置を行うこと等を公表し,その後,出店事業者が適用対象外申請を行うための手続を設けた(注2)。公正取引委員会は,出店事業者が「共通の送料込みライン」に参加するか否かを自らの判断で選択できるようになるのであれば,当面は,一時停止を求める緊急性が薄れるものと判断し,同年3月10日,同申立てを取り下げた。ただし,出店事業者の選択の任意性が確保されるか否かを見極める必要があると判断し,継続して審査を行ってきた。
これまでの審査の結果,楽天が,令和元年7月以前から楽天市場に出店している出店事業者に対し(注3),店舗を担当する営業担当者等(注4)により,「共通の送料込みライン」に参加していない店舗(以下「不参加店舗」という。)を不利にする取扱いを示唆するなどして,「共通の送料込みライン」に参加すること及び適用対象外申請を行わないことを余儀なくさせることにより,自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し若しくは変更し又は取引を実施している疑い(注5)のある事実が認められた。
今般,楽天から,後記3(3)の改善措置の申出がなされた。公正取引委員会において,その内容を検討したところ,上記の疑いを解消するものと認められたことから,今後,楽天が改善措置を実施したことを確認した上で本件審査を終了することとした。(公正取引員会 (令和3年12月6日)楽天グループ株式会社に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について)
「事実上の強制」は、「人の弱みにつけこんでねじ伏せ」「諦めさせ無抵抗にする」国際主義の性質をよく表しており、楽天のそれは、お買い物のワンワールド化のための戦略だったのだろう。
でも公正取引員会は、「出店事業者の選択の任意性が確保されているかどうか」を重要視し、会社側が強制ではないと主張しても、事実上の強制である実態が改善されるまで審査は終了しなかった。
これとおなじ態度を、ならば、接種者の任意性が確保されておらず、改善もされていない、事実上の強制をもたらす接種証明にたいして、豊かになったが卑しくなった日本の政府は、いずれとってくれるだろうか。
そうしてくれるよう期待はするけれど、ヨーロッパの多くの国々のようにワクチン接種を義務化したり、オーストリアのように義務化の法律を作ろうとしたり、ニュージーランドのように首相が「接種者と非接種者で階級を作る」などと得意げに公言するようになってからでは遅い。
手遅れになる前に、わたしたちができることは、日常にいる国際主義者と同じ性質の持ち主を見抜いて拒絶することだ。
罪悪感を植えつけて、事実上の強制をし、人の弱みにつけこんでねじ伏せようとする人や組織にたいして、けっして諦めて無抵抗にならないことだ。
■参考図書
馬渕睦夫『アメリカの社会主義者が日米戦争を仕組んだ 「日米近現代史」から戦争と革命の20世紀を総括する』KKベストセラーズ、2015年
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