2020
01.22

vol.14『日本軍閥暗闘史』と機密費をばら撒いて暴走した軍閥政治と酷似する安倍政権

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『そして安倍晋三は終わった』を書くにあたり、引用・参考にした文献・資料を紹介するコーナーのvol.14です。

vol.13までは以下からごらんください。

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現在の日本は、資本主義の仮面をつけた官僚制社会主義国である。

国民が納めた税金や年金などは特別会計を通過して「逆マネーロンダリング」され、特殊法人という名の官僚ら役人の天下り先に湯水のごとく流れ込んでいる。

立派そうに聞こえる事業は天下り役人の巨額の報酬を賄うためのハリボテの装置で、数千社あるといわれる子会社、孫会社になると会計検査院の検査も及ばないため、お金の流れと実態は幽霊のようにとらえどころがない。

その闇を追究して暗殺された石井紘基元衆議院議員が調べるまで、日本の大臣でさえ性格に把握できていなかった特別会計は、「特定機密保護法」の成立により議員でさえも調べることができなくなり、巨大なブラックボックスと化している。

 

満州で特殊法人と好き勝手できる法律をつくり、日本の傀儡国家で実験国だった満州国を自身の「作品」と呼んだのが、安倍晋三の祖父・岸信介であった。

満州国ではアヘンの密売が行われ、岸信介は、アヘンの密売で得た巨額のお金を「機密費」とした。

岸信介は「水はろ過して飲め」と言っていたが、それは「マネーロンダリングしろ」という意味で、万民が幸福に暮らす国家を理想とした「王道楽土」「五族協和」をスローガンのもと建国された満洲国は、その実、旧日本軍(関東軍)が機密費作りのための巨大装置だった。

満州国から続いている特殊法人による事業、や支配者たちが好き勝手できる法律づくりが現在の安倍政権にも引き継がれ、独裁ともいえる暴走を許している。

 

機密費の用いられ方を知ることは、安倍政権や安倍退陣後の政権の暴走を止める一助になるはずである。

『日本軍閥暗闘史』の「第九 憲兵の暴威と機密費の濫用―軍閥跋扈と源泉―には以下のように書かれている。

 

 皇道派及び統制派が政権を維持する手段として憲兵を濫用した反面に、多数の機密費がバラ撒かれた事実は、軍閥政治の裏面を物語る重要な要素である。古今東西を通じて、政治なるものには必ず黄金の魔力がつきまとうことは隠れもない事実である。権力のみをもってしては決して久しきに亘って政権を維持することは出来ぬ。ある人は政治とは一にも金、二にも金であると喝破した。満州事変の勃発ととともに、それまでわずかに二百余万円に過ぎなかった陸軍の機密費は、一躍一千万円に増加した。日中戦争の勃発はさらにこれを数倍にした。太平洋戦争への突入の前後に至って、この機密日は臨時軍事費なる一本の予算の内に含まれてしまったため、その正確な金額は全く表へ現れぬようになった。しかし、当時の陸軍の機密費が年額二億を超えていたことは確実であった。

元来機密費なるものは、その使途には、何らの制限がないのみならず、会計検査の適用も受けない。従ってもし責任者がその用途を誤るときはいかなる罪悪をも犯し得るのである。満州事変以来陸軍の機密費が、軍閥政治を謳歌しこれに迎合する政治家、思想団体などにバラ撒かれたのは、私の知れる範囲だけでも相当の額に上る。近衛、平沼、阿部内閣等でも、内閣機密費の相当額を陸軍が負担していたことも事実である。これらの内閣陸軍の横車に対し、敢然と戦い得なかったのはわたしは全くこの機密費に原因していると信じている。それの内閣は陸軍の支持を失えば直ちに倒壊した。また陸軍の支持を受くる間は陸軍と一体であったから、この機密費の力は間接的に陸軍を支持する結果を生んでいた。軍閥政治が実現した素因の一として、私はこの機密費の撒布が極めて大なる効果を挙げたことを否み得ない。東条内閣に至っては半ば公然とこの機密費をバラ撒いた。東条氏が総理大臣と陸軍大臣と内務大臣とを兼ねたとき、土産として内務省に持参した機密費は百万円であった。この一事だけでも、陸軍から内閣に注ぎ込んだ機密費がいかに莫大な額に上っていたかは想像に難くない。昭和十七年春に行われた総選挙で推薦候補者に与えられた金額は一人当たり五千円であった。この時の選挙費だけでも五百万円は下らなかった。これらが陸軍より内閣に、内閣より選挙母体たる翼政会に渡された。この推薦で当選した議員は「臨軍代議士」なる綽名が与えられ、ご当人も得意でいた。臨軍とは臨時軍事費支弁の意であったことはいうまでもない。このために臨軍代議士が東条内閣の施策に是非を問うことなく、唯々諾々として従順猫のごとくであったことは、また已むを得ないではないか。

サーベルとピストルを腰に下げた憲兵の威力とその恫喝は、当時の一億国民をまったく慄伏せしめた。国民は、軍閥内閣の号令の前には小羊のようになって、あるいは右しあるいは左し、唯々として諾々としてその命令に従った。この間いわゆる指導階級の間には多くの黄金がバラ撒かれ、阿片のごとく彼らの良心を麻痺せしめた。彼らは一切の批判を擲って軍国政治を支持し、これを謳歌した。無智なる一般大衆はこれら指導者の言に従ってこれを阿諛し、迎合するのほか他に途はなかった。官僚は軍閥に追従することによって立身出世欲を十二分に満たし、従順なる軍属的存在となった。実業家の多くは軍需産業の勃興によって莫大な利潤を獲得した。利潤の増加するところ、彼らが軍閥万能論者となり、軍部礼賛者となるのは無理もない。

かくして軍閥政治は、東条内閣の出現によってその黄金時代を現出し、統制派は得々として国民に号令した。煎じつめればこれは、憲兵と機密費の賜であったのである。(p.126-128)

なんと、「機密費」を「特別会計」に、「軍閥政治」を「安倍政権」に、「憲兵」を「司法機関」に置き換えて読んでも意味が通るではないか!

 

それはつまり、当時の軍閥にとっての機密費のように、現在は「責任者」たる政治家が特別会計の用途を誤り、安倍政権を謳歌しこれに迎合する政治家、思想団体などにバラ撒かれ、いかなる罪悪をも犯し得ている状態である。

責任者たる安倍晋三は憲法改正に執着しているが、自民党改憲草案は国民に基本的人権を認めていない。

そしてひとたび「緊急事態」となれば内閣は法律と同等の政令を制定し、国民全員が公の機関の指示に従うことを義務づけ、首相に絶大な権限を集中させようとしている。

軍閥が跋扈した当時のような独裁政治を、現代でも可能にしようとしているのである。

 

使われる名前や政治家が変わっても、戦争中と実態が変わらないのが現在の日本政府である。

日本政府はいまだに満州を生きているのみならず、わざと満州をくり返すことで、満州後と同じやり方で日本を立て直そうとしている。

そのためには日本を一度壊す必要があり、その準備としての財政難と憲法改正なのである。

 

■引用・参考文献・資料

田中隆吉『日本軍閥暗闘史』中公文庫、1988年

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